良い会議を行なうには、どうすればよいのか。

Hiroki Shimada
6 min readFeb 4, 2018

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日々ビジネス上の会議(ミーティング。特に断りのない限り、この記事では社内会議を指すが、社外会議にも応用できる。)を行なう中で、良いプラクティスと悪いプラクティスを学んだので、良い会議とは何か、またそれを行なうにはどうすればよいのかを考えてみた。

良い会議とは

基本的に、ビジネス上の会議は、やる前と後で行動が変わっていなければ無意味である。「新しい知識や知見が得られる」という効果もあるが、最終的にそれによって行動が変わっていなければ特に意味がなかったことになる。

その意味で、有意義な会議とは、その会議をやる前と後で変わった行動の総量が大きい会議である。したがって、議論の前と後での行動の違いを意識することで、有意義な会議にすることができる。

さらに良い会議とは、より短く、有意義な会議である。つまり、会議時間あたりの行動量の変化が大きい会議である。アンディ・グローブがHIGH OUTPUT MANAGEMENT の中で言うとおり、1回2時間のミーティングは、1時間一人100ドルの単価だとしたら10人呼べば2000ドルもかかり、海外出張やコピー機の購入と同様、決算承認を通すレベルなのだ。会議は短いほど良い。

したがって、会議の価値が最大化されるのは、その会議を行わなかったときである。つまり、会議を行わずに行動の変化をもたらすことができれば、実質の会議時間はゼロなので、会議時間あたりの行動量の変化は無限大になる。つまり、どんな会議でも、まず「その会議を行わずに済むにはどうしたら良いか?」から考えると良い。

会議のファンクション

社内会議には、ファンクションがある。会議の機能は、次のどれかに分類される事が多い。

  • 何かを決める会議
  • 何かを報告する会議
  • 意見を出し合う会議

1つの会議が2つ以上の機能を兼ねている会議もあるが、基本的にこの3つのどれかの機能を持っている。1on1のように、話をすること自体で親睦や信頼性が生まれるという機能もあるが、ここでは割愛する。

何かを決める会議

このタイプの会議はおそらく最も頻繁に行われ、おそらく最も時間のかかる会議だ。しかし、このタイプの会議は行わずに済む可能性がある会議である。例えば、「今期の採用人数目標を決める」「製品のβ版のリリース日を決める」といったものだ。
このタイプの会議を良いものにする方法は、意思決定者あるいは会議をやろうと言った本人(提案者)がなるべく緻密な原案を作ることだ。これは当たり前のようだが、気まぐれで原案が作られることはあっても、それが徹底して行われることは珍しい。会議というのは、原案を事前に共有し、それで同意が取れないときだけ行えばよいのだ。集まってみたら実は原案のまま皆の合意がとれていた、ということはよくある。しかし人間というのは、「会議室を予約して人も集めたのだから何かを話し合わないと勿体無い」と思うらしく、それでも何かを話し合おうとする。
この状況は大した問題にはならない。最悪のパターンは、原案無きまま不毛な議論のぶつかり合いが行われ、どこが同意がとれていてどこが同意できていないのかわからぬままどちらかが折れるような形で終着することだ。アジェンダや原案を作るのは時間がかかるが、それでも時間を奪われるのが1人で済むのなら、5人会議に出して全員が時間を浪費するより、はるかにマシである。

この手の会議は、原案を作ればたいていは20分かそこらで終了するはずだが、この会議が長引く理由があるとすれば、下記のようなものがある。

  • 意思決定者は誰かが明確でない:全員の合意を以って決まる のか 明確な意思決定者がいるのか、明確にされず議論されることが多いが、これが最初に明確になると、時間が一気に短縮される。
  • 何を基準に決定を下すか(ゴールは何か)が明確でない:意見が割れた時に「そもそも」といった形で参照されるので、最初から確認しておくわけでもないが、明確化しておくと良い。(たとえば、製品開発の議論をするときは、「今は顧客の喜ぶ製品機能が何かを議論しているのであって、皆の好みを議論しているわけでは無い」といった具合だ。)

特にスタートアップのような小さな組織では、たいてい多くの問題は「決めの問題」(いずれの選択肢をとっても、少しの差はあれど大勢に影響が出ないので、正しい決定をすることよりも早い決定をすることの方が重要な問題)なので、まず意思決定者が先に決めて、大きな問題がない限りそれに従うというやり方の方がずっとうまくいく。

何かを報告する会議

普通、何かを報告するだけの会議はそれほど多くはない。このタイプの会議は、報告した上で何かを決めたり、報告した上で意見を出し合ったりすることが多く、他の機能と混合して実施される。普通に考えてみれば、報告自体はテキストやメッセンジャーで非同期的に行なうことができるので、そっちのほうが効率的である。この手の会議が頻繁に行われているようであれば、効率化の余地は残されているかもしれない。

意見を出し合う会議

このタイプの会議は、他の方法で代替されにくい。別の言い方をすれば、最も行なうべき会議だ。なぜなら、使えるアイディアや施策は、同期的なコミュニケーションのなかで生まれることが多いからだ。
たいていは、この手の会議は「顧客の継続率が下がっていることの対策案が欲しい」「新規案件の新チャネルのアイディアが欲しい」といった課題があり、そういったものに対しての意見出しとして行われることが多い(これは、意見を出した上で何かを決める会議だ)。ただ意見を出し合う会議はブレインストーミングと呼ばれることもある。
ちょっとした施策を決めるくらいであれば、意見を出し合ったその場でやってしまっても良いが、もし課題が大きくなれば、複雑なことを何の原案も無しに議論することになるので、上のルールに基づけば、ブレインストーミングとソリューションの決定を分けて行なうべきである

総括すると、良きアイディアというのは、発散と収束の繰り返しによって形作られる。総じて会議というのは発散をもたらすので、アイディアを発散させたい時は会議は積極的に用い、収束させたい時は極力1人(あるいは少人数)で行なうのが良い。ということになる。

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Hiroki Shimada

CEO at Polyscape Inc. / Producer & Director of MISTROGUE / ex CEO at LAPRAS Inc. / MSc in Artificial Intelligence at University of Edinburgh