クレイジーであることはなぜ重要か

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今日で30歳になりました。自分の30歳のテーマは、賢くクレイジーであれ、ということです。今回はクレイジー(Crazy)であることとはどういうことで、なぜそれが重要かということを書いてみました。

クレイジーであることとはどういうことか

クレイジーである行動にはどんなものが挙げられるだろうか。ホテルの窓からテレビを投げ捨てた上でチェックアウトの際に現金で弁償するといった行動(※1)は間違いなくクレイジーだ。大きな会社の社長が自社の生放送のポッドキャストでマリファナを吸って自社の株価を10%下げるといったこともクレイジーだ(※2)。また、給料も良い大手コンサル会社を辞めて周りの人が反対する中いきなり起業したりするのもまたクレイジーなことかもしれない(※3)。

一見すると、クレイジーな行動はすべてバカ(Stupid)な行いのように見えるかもしれないが、実際のところ、クレイジーであることとバカであることは全く関係が無い。だからクレイジーの反意語はクレバー(Clever)ではない。クレイジーの反意語はしらふ(Sober)だ。まともな判断とは、大多数の人が見た時にほとんどの人が賛同するような判断のことだ。つまり逆に言えば、多くのランダムな人を集めたときに反対する人が多ければその選択肢はCrazyであるといえる。また、大学を休学するとか、無収入のバンドマンと駆け落ちするとか、髪の毛を虹色に染めるとか、だいたいの親が反対しそうなことは全部クレイジーといえるので、行動のクレイジー度合いは親の顔を思い浮かべることで測ることができる。

※1. レッド・ツェッペリン
※2.
イーロン・マスク
※3.
南場智子

クレイジーとクレバーは両立できる

バカ(Stupid)とクレイジー(Crazy)が同義でないとしたら、人・あるいは人の行動は次のような4象限に分けることができる。クレバー(Clever)とはいわば計画的で先を見通し、起こりうるリスクを見通して最小化したりできるということだ。バカはその逆で無計画でリスクに無頓着、そして突発的・衝動的なことを言う。

先の、ホテルの窓からテレビを投げ捨てた上でチェックアウトの際に現金で弁償するという行動は間違いなくクレイジーなうえでバカだ。誰も賛同しなければ、無計画で突発的だ。(伝説的なロッカーはたいていバカでクレイジーな逸話を残している)

だが、すべてのクレイジーがバカではない。実際、クレバーとクレイジーは両立することができる。自らの衝動を実現するために計画や戦略を練ることは、たとえ多くの人が反対したとしても無謀とは違う。勘違いされがちだが、リスクを取ること自体が偉いわけではない。むしろリスクは減らされるべきものだ。リスクに対処せず、衝動のまま無計画に何かを行うのは無謀というもので、これは一歩間違えばバカでクレイジーな行動と言われてしまう。

スタートアップを始めることはクレイジーな行動の代表例だ。そして初期のスタートアップに参画することもある程度クレイジーだ。明らかにリソースが乏しく、賛同してる人がほとんどいない状況で、大企業にひねり潰されてもおかしくないというのになぜ人はそんなことをしたがるのだろうか。おそらくそれは人がクレイジーになるメカニズムのようなものが存在しているからだ。

衝動が人をクレイジーにする

なぜ、人はクレイジーな行動をするのか。人がクレイジーな行動をするメカニズムはおそらく次のようなものだ:人にはまず何かにかける情熱や、その人しかもっていない情報や知識・経験、絶対に自信のある仮説、夢といったものがある。そういったものが衝動を引き起こし、衝動によって行動せずにはいられない状態になり、クレイジーな行動に出る。そして、その衝動は周りの人には基本的に理解されないため、周りの賛同が得られず、周囲と違った行動に出る。周りに理解されないのは、そもそも行動の発端になった衝動はその人固有の何かによって引き起こされるからだ。

クレイジーであることはなぜ重要か

クレイジーであることが重要なのは、世の中の真実は多数決で決まらないからだ。つまり、多くの人が指し示している方向が正しい(ここでは成功するとか、そういった意味)とは限らない。 解くのが簡単な問題であれば多数決はワークするが、複雑で答えがなさそうに見えるほど正解は多数決の出した結果とはかけ離れることが多い。 それは、そういった問題においては世の中の大多数の人があなたほど物事を真剣に考えていないからだ。自分の信じていることが当たり前になって数年後に世の中に認知されていけば、その行動がクレイジーとはみなされなくなるが、それでは時間がかかる。クレイジーな人はクレイジーなまま行動することができるが、それによって人より早く意思決定ができる。クレイジーさはスピードを生む。しらふでクレバーであること(出世人)は悪いわけではないが、このリスクテイクで生まれるスピードがないため、大きな成功は無い。一方で失敗を避けられる十分な賢さがあるため大きな失敗も無い。

また、これは仮説だが、衝動に従ったほうがおそらく人は幸せを多く感じる。しらふな人やしらふな自分が反対した衝動があとで正しかったと知ったなら、きっと人は後悔するだろう。 衝動に従うということは一見バカっぽく見えるが、挑戦するためにバカになる必要はない。綿密に計画し、リサーチし、戦略を作り、そして人が反対することをやろう。自分がクレイジーであることを許し、賢く狂うことができるようになると、人生はもっと楽しくなる。

自分の30歳は、賢くクレイジーになるということをテーマに、自分の信じることを実行して結果を出していきたいと思います。うまく行っていた会社の代表を交代したことや、WEB業界から未経験のゲーム業界に飛び込んだこと、Metaが本気でやろうとしているメタバースに今から挑むということはクレイジーに見えるかもしれませんが、それを理由に諦めるのではなく、徹底的に考え抜いて、クレバーに戦って行こうと思います。

6/1 開設の新オフィス ー まだからっぽ・・

PS. 6/1から2月に創業した2社目の会社Polyscapeオフィスを開設しました。ウィッシュリストを公開しています!応援していただけると嬉しいです!会社は順調に進んでいます。秋くらいに最初のプロダクトの情報が出せると思いますのでお楽しみに!

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Hiroki Shimada

CEO at Polyscape Inc. / Producer & Director of MISTROGUE / ex CEO at LAPRAS Inc. / MSc in Artificial Intelligence at University of Edinburgh