よく、スタートアップにおいてブランディングはいつから何をすればいいのか?という疑問を聞くが、今回はスタートアップのブランディングのための強力なツールであるBVS(Brand Value Sheet) について紹介する。LAPRASでも最近BVSを作りブランドの目指す姿を明らかにしたので、その事例も交えて紹介したいと思う。

BVSとはなにか

BVSというのは、Brand Value Sheetの略で、一言でいうと自社のブランドのあるべき姿・理想の姿をまとめたシートである。ブランドには様々な定義があるが、ここでは「消費者(広義にはそれ以外のステークホルダーも含む)が自社のことを考える時に想起するユニークなストーリー」[1] のことを意味する。いわばブランドというのは消費者が自社について勝手かつ独自に思い浮かべるストーリーで、それを自社の目的に沿うよう意図したものに変えていくというのがブランディングおよびブランドマネジメントというものだ。BVSの各項目やLAPRASのBVSの例は後述する。

BVSが何故必要か

ブランドというのは、ブランドマネジメントチームが直接的に顧客に働きかけることで形成されるわけではない。自社の広告や製品やカスタマーサービス、記事やリリース、社員の発言など、自社の様々な要素が顧客と接することで自然と形成されていくのだ。たまにプロモーションの方法や活動をブランディングと捉えている人もいるが、それは大きな間違いだ。 たとえプロモーションを工夫してもサービスの中身の実態が変わってなければ、意図したブランドを構築することはできない。

したがって、意図したブランドを作るには、まずは社内を変えなければならない。つまり外部に展開すべきブランドの内部浸透を行い、それが外に染み出していくような体制を作ることがブランドマネジメントにおいては重要である。

ブランドマネジメントの全体像

だからこそ、ブランド・マネジメントは難しい。会社として一貫したブランド価値を提供していくためには、まずは社員がブランドの理想像に関して共通の認識を持たなければならない。その「理想の共通認識」を規定するのがBVSだ。現状はどうあれ、まずはこれを目指しますという像がなければ、ブランドを語ることもアップデートすることもできない。そのためブランディングにはBVS、少なくともそれに準ずる何かが必要なのだ。

スタートアップはブランドをいつから考え始めるべきか?

スタートアップはリソースが限られており、明日のために生きている部分もある中で、スタートアップがブランドをいつから考え始めるべきかはしばしば語られるトピックになっている。

これに関しては諸説あるのでこれという答えは無いが、個人的にはアーリーステージでは大それたブランディングは必ずしも必要ないように思える。ただし、ブランドというのは一度作り上げられてしまうと後戻りが効きづらいので、早い段階で社内の共通認識の明文化を行い、発信するものの統一化を行う必要はあるように思う(逆に言えば、それで十分だ)。 BVSは1回で作り上げて完成するものではなく、何度もブラッシュアップを経てできていくものなので、共通認識・認識のたたき台を作るという意味では作っておいて早すぎることは無いだろう。

BVSの作り方

BVSはBVSと呼ばれていなかったり、別な呼び方をされていることもあるが、大きくは以下のような項目から構成される。これはこの項目でないといけないわけではないので、あくまで一例としてご覧いただければよいだろう。

  • MVV:ミッション・ビジョン・バリュー。ブランドバリューの基礎となるコアを言葉として表したもの。
  • 理想的な顧客像:ターゲットユーザーやペルソナとして、誰を想定しているのか。
  • ブランドパーソナリティ:ブランドの人格のようなもので、ブランドを擬人化した際にどのような言動や行動をしたりするかをまとめたもの。
  • ブランドプロミス:そのブランドが顧客に約束する一言[1]。Evernoteの「すべてを記憶する」や「買えるものはマスターカードで」など。
  • ブランドポジショニング:顧客の頭の中の駐車スペースを見つけ、誰かに先を越される前にそこに駐車すること[1]と説明されるような、製品の位置付け。
  • ブランドのコアバリュー:ブランドの提供するベネフィット(心理的・機能的)のうち、コアとなるもの。

LAPRASでは、2020年10月にミッション・ビジョンを変更したので、それに伴いバリューを変更し、同時にBVSも改めて明文化した。以下にLAPRASのBVSから一部のページを抜粋した。


LAPRASでは、今後のサービス開発のために職務経歴書系のサービスや、転職者や人事の職務経歴書の利用の実態の調査を行った。今回は、その内容を公開するとともに今後の職務経歴書のあり方を考えてみようと思う。

なぜ職務経歴書系サービスを調査したのか?

LAPRASのプロダクトマネジメントチームは エンドユーザーファーストというバリューのもと日々ユーザーのニーズや課題を調査しているが、そういった調査をする中で、既存の職務経歴書の作成にpainを抱えているユーザーが多いということがわかってきた。それは「職務経歴書の作成が面倒くさい」「どのようにして自分を魅力的に見せればいいかわからない」といったもので、根本的には「自分をちゃんと理解して評価してくれる企業に必要とされたい」という潜在的なニーズに基づいている。そういったニーズを鑑みて、我々は新しい方針を立てた。

LAPRASはすでにSNSを用いてエンジニアのポートフォリオが自動的に作れるという機能を持っているが、今年はこれをさらに拡張して、「職務経歴書の再発明」をテーマとすることにした。これは職務経歴書自体に代わるWEBレジュメを作ろうという事に限った話ではなく、その作り方や用途・使われ方・流通やインタラクションを含めた大きな意味での再発明を意味している。この詳細は後述する。

それにより転職時の負を解消し、自分をよりよく見せることのできる表現を簡単に作れるという価値を提供したいと思っている。新たな表現を得た先には、その表現を足がかりにその人にとって最善のマッチングを実現したいと考えている。

海外の職務経歴書生成系サービス

自社のサービスづくり・課題解決の参考にすべく、特に職務経歴書を作るというプロセスにおいて海外の職務経歴書作成ツールやAIによる生成ツールを調査した。以下はその一部である。

enhancvによる職務経歴書(画像は同社WEBサイトより引用)

enhancvは、WEBサイト上のツールで美しいレジュメ・CVが作成できるというサービスだ。テンプレートベースで、様々な形の職務経歴書を作ることができる。料金は$10~$20程度。ビジネスモデルはこれとキャリアコンサルティングのみのようで、2014年創業でCrunchBaseによると累計調達額が約3000万円程度と、公開情報だけだと会社としてうまくいっているかは微妙に見える。


2020年も残り少なくなってきた。世界的にはコロナ恐慌に見舞われた1年だったが、LAPRASとしては資金調達や執行役員陣変更、新サービスのリリースなど良いことも大変だったことも盛りだくさんの1年であったので、プロダクト、組織、経営、そして自分という4軸でなるべく見栄を張らずオープンかつ赤裸々に振り返ってみる。

プロダクト:LAPRASを軸にしっかりと成長できた1年

2019年4月10日にリリースしたC向けLAPRASであるが、これはリリース当初から順当にユーザーを獲得して、今年の9月には累計登録ユーザー数が1万人を越えた。

LAPRAS 累計登録ユーザー数の変化

4−6月はコロナの打撃を受けたものの、サービスを通じて発生したマッチング数(内定受諾数)は今年の始めと比較して大きく伸びた。これはLAPRASの成長も起因していて、LAPRASでアクティブなユーザーが増えるほどにマッチング数も大きくなっている。


2020年の秋、LAPRASはミッションを変更した。今後LAPRASの向かう方向性と今後我々が採用市場で起こると信じていることを書いてみようと思う。

LAPRAS社のミッション変更

2020年の秋、LAPRASは自社のミッションを「すべての人に最善の選択肢をマッチングする」というものに変更した。

LAPRASはこれまで何度もミッションステートメントを変更していて、最初の「世の中のミスマッチを無くす」から、3回目の変更となる。目指しているものが変わったというよりは、これを本気で追う事業側と代表である自分の目指したいものとの齟齬を無くすためより正確な表現になった、という感じだ。

ミッションにおける「最善の選択肢」とは何か。これはいわばその人にとっての世の中の本当の「Best of All」である選択肢という意味で、自分の国や認知・手の届く範囲を越えた全範囲でのベスト、というものだ。


先日、LAPRASはいままで掲げていたバリューを一新して、新バリューを制定した。そのときのバリューの決め方や浸透させるための運用法について書いてみる。LAPRASの新バリューは、3つのメインバリューと12のサブバリューから構成されていて、よりシンプルかつ具体的になった。詳細は以下のリンクからみていただきたい。

新バリューはこちら:LAPRAS VALUES

LAPRASの新バリュー

バリューとは何か

バリューを社に浸透させるにあたり、まず「バリューとはこの会社では何なのか」を決めなければいけない。これは普遍的な定義である必要はなくて、その会社ごとの定義で良い。でもとにかく決めることが重要だ。LAPRASでは、バリューを以下のように定義した。


先日、Matching Intelligenceに関してGroovesとLAPRASの提携が発表された。競合どうしなのに業務提携?と驚かれた方もいたかもしれないが、私はMatching Intelligenceのビジョンを目指す上とても有効な提携だと考えている。その意味を理解していただくためにも、我々がMatching Intelligenceを通じてLAPRASで目指すビジョンを共有しようと思う。

参考記事:グルーヴスとLAPRASがエンジニア採用領域で提携(LAPRAS)
参考記事:スキル可視化ポートフォリオ「LAPRAS」が人材紹介事業拡大、Crowd Agentと連携で(THE BRIDGE)

Matching Intelligenceとはなにか

Matching Intelligenceは、LAPRASにおいてR&Dとして始まったプロジェクトで、Tech Crunchの記事 にもある通り2020年2月から開発が開始され4月からクローズドβ版の提供が開始したサービスだ。

LAPRAS のサービス関係図

Matching IntelligenceはLAPRASを利用するユーザーに対して、人材紹介エージェント持つマッチングに近いマッチングを提供するサービスだ。転職を希望するユーザーには希望する業界や業種、希望年収や企業のカルチャーといった構造化した質問に回答してもらい、その結果を元にしてその人に合った求人を提案する。現在、提案は5件ごとに行われ、ユーザーはインターフェイスを通じてその提案に「気に入った」「気に入らない」というフィードバックを入れることができ、そのフィードバックに従って次の5件を提案する。合計15件提案して、最終的に面談を希望する企業が決まったら、人間のキャリアアドバイザーがその会社とつないでくれる、という流れだ。

現在はまだクローズドβ版で、サービスの提供価値を検証している段階だが、LAPRASを利用しているユーザーはLAPRASページからアクセスすることができる。

一人ひとりにパーソナライズされた専属マシンエージェント

Matching Intelligence の初期のコンセプトは、「一人ひとりにパーソナライズされた専属マシンエージェント」に近いもので、この名が付く前は「凄腕エージェントクローン」プロジェクトと呼ばれていた。実際に凄腕の人材エージェント数名に協力してもらい、マッチングのロジックや候補者に対する質問項目をヒアリングするなどしていた。いわば、日頃から自分に関しての情報を蓄積し、いざ転職する時には自分に合った最善の選択肢を提案してくれる専属エージェント(あるいはAIキャリアメンター)のようなものだ。今でもこの基本コンセプトは変わっていない。

エージェントと通常の検索の違いは、検索クエリがあるか無いかだ。検索というのは自分の欲しい物が明確な場合に明示的な検索クエリ(e.g. 「WEBエンジニア、東京、年収500万以上」など)を指定してほしいものを探すが、エージェントの場合は自分の状況や希望を伝えて、それにふさわしい選択肢を専門家に提示してもらう。転職のように選択肢が多く条件が複雑な分野ではエージェントのようなマッチングの仕方のほうがうまくいくケースが多い。しかし、そのように自分で調べるより良質な選択肢を提案してくれるエージェントはそう多くはない(エンジニアリング領域では特に)上、人によっても質にかなりの差が出るのが現実だ。Matching Intelligenceは、そういったエージェントによるマッチングを科学し、再現可能な形として量産することを目指している

4月から始まった初期の実験では、提案を受けた人のうち約85%の人がMatchingIntelligenceから提案を受けた企業との面談を希望した。現在は初期の提案ロジックとは変わっているが、人間のエージェントと比べても低い数字ではないだろう。体験した人に対して行ったヒアリングでは、多くの人が「自分では検索しようと思わなかったような求人を知ることができた」ということに価値を感じていた。ビジネススキーム上の制約のため形態は常に変化しているが、アルゴリズムによる人間を超える良質な提案の実現は、夢ではないようだ。

Matching Intelligence の目指す世界観


LAPRAS(scouty)がホラクラシー組織になったのは2018年3月のことで、その時は社員が10数名であったがそれから2年半ほど経つ今は社員が30名ほどになった。その中でホラクラシーとは長い付き合いになるが、ようやく見えてきたホラクラシーの長所と短所(功罪というと大げさだが)、そしてその先に見えるミッションに向けて本当にパフォーマンスを出せる組織のあり方について考えが固まってきたので、書いてみる。

我々もホラクラシーを完全に運用できていない点もあるので運用の問題をモデルの問題と取り違えている部分もあるかもしれない事はご留意いただきたい。また、あくまで会社の代表の視点であることを忘れずに(代表以外からは、別な視点が見えているかもしれない)。また、これはホラクラシー憲法version 4.xを前提にした話なので、version 5.x ではいくつか改善されている箇所もあるようだ。

憲法?バージョン?なんだか自分の思ってるホラクラシーと違うぞ?と思った方はこちらの記事からご覧いただきたい。

ホラクラシーの素晴らしい点

ホラクラシーの考案者のBrianはホラクラシーの解決する問題として「暗黙的ガバナンスの限界」「コンセンサスの限界」「トップダウンの限界」という3つの限界を上げた。そのうち、「暗黙の期待を元に仕事をしていると期待する側とされる側で期待のズレが生じ、組織にひずみが生じる」という「暗黙的ガバナンスの限界」はホラクラシーの解決する課題の中で最も重要なものと言ってもよいのではないだろうか。

ホラクラシーは組織内の役割をロールを通じて明瞭化し、共通認識を作ることによって組織から暗黙の期待をなくす。自分が暗黙の期待をしている、されていると思ったときはすぐにガバナンス(誰が何を行うか、そのためにどんな権力と責務を持っているか、という仕事の型。ホラクラシー組織に限らず存在。)を書き換えることができる。

明瞭化されたガバナンスの利点の一つは、意思決定が早くなることだ。「誰が決めるか」ということが決まっているので、きちんと運用すればコンセンサスにはならず意思決定者がスパっと決める。そのため何かを決めるミーティングは決定内容を話し合うのではなく、意思決定者が情報を集めるために行われることが多く、時間も15分から30分であることが多い。

また、明瞭化されていることによって「◯◯は△△さんの方でやっておくべきことなのに、なんで漏れているの?」といった勝手に抱いた暗黙的が外れたときの不満は、めったに生じない。それが生まれた場合は決まったプロセスで明瞭化をすれば良いので、オープンな場で解決される。何より、「暗黙の期待はダメ。期待があるなら明瞭化して相手に伝えるべき」という空気感や文化が自然と組織に浸透するので、それにより組織のひずみが生じにくくなっているようにも思える。

一度明瞭化されたガバナンスに慣れてしまうと明瞭化されていない状態が気持ち悪くてしょうがなくなる。組織内のガバナンスをすべて明文化するのは大変だが、それほどの価値はあるだろう。

組織や事業は極めて変化が激しいので、初期設計された組織構造やガバナンスが1ヶ月後も最適な形であるとは言い難い。例えば、最初は社長がプロダクトの価格を決めるのが適切だったが、数ヶ月後事業や組織が進捗した際はマーケティングチームに決めさせた方が適切である、といった具合だ。

LAPRASホラクラシーオンボーディング資料より抜粋

多くの組織ではオペレーションに関してPDCAや改善サイクルが回っているが、ガバナンス、特に権限や責任に関してPDCAが回っている組織は少ないだろう。責任を果たすための権限が少なければ増やす、誰が決定するのか不明確になっていれば誰が決めるかを決める、といった具合だ。この仕組があることで、組織自体がアジャイルになる。これは「誰が決めるかを決める」プロセスがしっかり整備されていないと成り立たないし、そもそも書面上のガバナンスが明瞭に整備されていないと実現することができない。オペレーションとガバナンス両方のダブルループを回せることが、複雑な環境を生き抜くための組織の必須要件なのだ。


私はキャンプが好きで、先日箱根のキャンプ場に行ってきた。キャンプの帰りの定番はやはり温泉だ。箱根ということもあり、温泉には期待していたが近くに手頃な温泉が なかったため、近くにあった入湯料2000円の温泉に行くことにした(箱根でも相場は1100 - 1200円前後だ)。 サイトでも美しい写真があり、露天風呂もあるということで期待に胸を膨らませていた。

しかし、そこにいった私はがっかりした。広そうに写っていた写真とは裏腹に、小さな浴槽がひとつだけで、そこに人が群がっていた。そして、極めつけは露天風呂だ。露天風呂があると書いてある場所に行くと、そこにあったのは、ただ窓を開けただけの小さな浴室だった。たしかに浴場から見える富士山と箱根の景色は申し分なかったが、これでは2000円の価値は無い。こういった体験をするともう二度と行かないぞ、という気持ちになる。おまけに悪評のレビューも書いてやろうかと思うくらいだ。

これは良くないユーザー体験の例だ。全く同じ温泉でも、工夫すればユーザー体験は改善できていただろう。たとえば、その温泉の強みである優れた景色やよく手入れされた綺麗な雰囲気がサイトの前面に出されていれば、感じ方は変わっただろう。また、露天風呂は無いと書いてくれた方がまだ気持ちがよかった。私は露天風呂にそこまでこだわりはないので、書いてなかったとしても行くだろう。こだわりがないなら何故窓を開けただけの露天風呂に憤慨するのかって?そんなの愚問だ。ユーザーとは感情的で不合理な生き物なのだ。

様々な問題はあれどおそらく最大の問題は、その温泉にはおそらくユーザー体験に責任を持ったすぐれたUXデザイナがいなかったのだ。温泉に入りながら、すぐれたUXデザイナはユーザー体験を改善するために何をすべきなのかについて考えてみた。

温泉に入りながら、このユーザー体験を改善するにはどうすればいいのかを考えてみた。

最近ではUXに関して様々な複雑な定義や、ユーザージャーニーやペルソナを整理する体系化された手法が発明されてきた。それらが役に立つ場合もあるが、実際のところ、それらを理解した上で実際のユーザー体験の改善に活かすのはとても難しい。

この問題を考えるに当たって、まず、UXへの考え方をシンプルにしよう。ここではUXデザインを単純化し、UXデザインの目的を、「ユーザーの満足度を最大化すること」と捉えてみる。こう表現すると一見小難しいが、満足度とはつまり、5つ星レビューのスコアのことだ。

ユーザー体験を構成する要素は複雑で、サービスの内容のほか、

  • 価格やコストパフォーマンス
  • 利用前の期待と実際のギャップ
  • スタッフやサポートチームの対応
  • 利用した時の状況(たまたま天気が良かった、他の客がうるさかった 等)

こういったものまで含まれてくる。先の例でも、800円の利用料で、露天風呂などと書いていなければ無駄に期待することもなく、5つ星をあげられたかもしれない。こう考えてみると、UI/UXデザインなどと表記されるのはとても変な話だ。インターフェイスなど、ほんの一部分に過ぎない。


最近のベンチャー企業のウェブサイトには、どこも美しく綺麗なミッションステートメントが書いてある。まるで、ビジョン・ミッション・バリューその3つをウェブサイトに掲げることがITスタートアップ界の法律であるかのように、どこも似通ったことを言っているように思える。

最近は本当にワクワクするミッションを掲げる企業や組織を頻繁には見ないが、良いと思えるミッションにはいくつかの特徴がある。最近、組織のミッションについて考えることが多くなったので、良いミッションとそうでないミッションは何が違うのかについて考えてみようと思う。

良いミッションは、組織のゴールや目的として明確に意識できるものだ。逆に明確でないミッションというのは、たとえば「〜を通じて笑顔が絶えない社会を作る」といった、達成したか達成していないかがよくわからないようなものだ。こういった目標を追うのは、曖昧な気分になる。ミッションが不明確だと、自分たちが存在したことによって変わったか変わってないかがよくわからない。少なくとも、計測可能なものであるべきだ。

時折CEOは、「会社としていろいろなことをやる」ため、会社の目的であるミッションをあえて不明確にすることがある。これは最低のやり方だ。それは「ミッションはあくまでお飾りで、せいぜい会社に人をつなぎとめておくための道具だ」と言っているようなものだ。組織のためにミッションがあるのではない。ミッションのために組織があるのだ。

明確だが野心的でないミッションは、「全国大会で金賞を取る」「国内での最短での上場記録を作る」「◯◯業界で世界一の売上を作る」とかそういった類のものだ。つまり、野心的であるとは、誰もやったことのないくらい難しく、それでいて実現されたときにワクワクするほどの変化を起こすものだ。上に挙げた例は、たしかに難しいことではあるが、その実現の前と後で世の中に与える変化が小さい。一部の人の共感は得られそうだが、より多くの人を動かすには少し物足りない。ただ、野心的だが明確でないミッションよりは、いくらか明瞭な行動指針になるだろう。

明確で野心的なミッションを持つことは重要だ。だが、その二つよりも重要なことがある。それは、あなたが本当にそのミッションを信じているということだ。ビジョンやミッションは、人や株主をつなぎ止めたり、ウェブサイトに美しく掲げるためにあるのではない。あなたが本気で目指している夢でなくてはならない。本気で信じているかどうかを見極める一つの方法は、そのミッションが達成されたときに組織が解散してもいいと思えるかだ。実際のところ、組織のためにミッションがあるという状態に陥りがちだが、本来であればその関係は逆であるべきだ。株主がいるとか、会社として存続させないといけないといったしがらみはあるものの、創業者は常に自分らの目的を問い続け、ミッションのために組織があるという状態を保ち続けなければいけない。

よく、「ミッションやバリューを会社に浸透させるにはどうしたらいいか」という質問をされることがある。そのためには、まずは綺麗なミッションステートメントを並べて自分自身を騙さないことだ。逆に、組織の創業者や社長のような組織内で一番権力のある人が本気で信じているのであれば、組織は自然とその達成の方向に向かっていくだろう。組織を大きなことを言うために嘘をつくくらいなら、小さくても本気で信じているミッションを掲げる方が遥かにマシだ。

別に明確でないビジョンや野心的でないミッションを持つことがかっこ悪いだとか、それを達成することに意味がないだとか、そういったことを言うつもりはない。ただ、そういったミッションは人を動かす力が弱いのだ。逆に、良いミッションは人を動かす。人を動かすということは、良いミッションの特徴というよりはむしろ定義のようなものだ。ビジョンやミッションは人を動かして士気を高めるための道具ではないが、良いと思えるビジョンやミッションには常にそういう性質がある。報酬も、名誉も、自己存続も、自己実現も、自分のスキル向上も大事だが、それよりも人は使命や社会的意義を求めるものだ。


日本初のAIヘッドハンティングサービスと銘打ったscoutyの事業を開始しておよそ3年が経った。その3年でサービス運営を行ったり、海外でのトレンドを見ていく中で、採用のあり方の変化や、今の採用方法の限界や、次の採用のあり方がだんだんと見えてきたので、今回はそれをまとめようと思う。

なお、LAPRAS SCOUT(旧scouty, 2019年4月より社名・サービス名変更)は現在はエンジニア採用に特化しているので特に前半はエンジニア採用に限定した話ではあるが、その多くは他の職種にも適用できる話ではあるので、採用全般の未来と考えていただければ良いと思う。

日本のエンジニア採用の現状

大前提として、日本は今深刻なエンジニア(IT人材)不足である。IT人材需給の予測では、エンジニアは2018年時点で22万人、2030年までに約45万人不足すると言われている[1]。人材の供給量はほとんど増えない一方で、需要が右肩上がりで伸びている。

出典:経済産業省-IT人材供給に関する調査2019

特に、クラウドサービス、ビッグデータやIoT、人工知能といった先端技術人材においてはさらに需給バランスが崩れており、従来型のIT人材より不足する傾向がある。

Hiroki Shimada

CEO & Product Manager at LAPRAS Inc. / MSc in Artificial Intelligence at University of Edinburgh / Alumni of KUIS(Kyoto University Information Science)

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